依 頼 人 の コ メ ン ト
菅野由紀子・「山と渓谷」編集部員

「10年前に、初めて自分で買ったシュラフです。まだ学生だったので、ダウンシュラフは高嶺の花。そこを思い切って買ったことを覚えてます。このシュラフとは 、冬山をはじめ、ヒマラヤにも一緒に行きました。そういえば、買った当時は暖かかったんだけど、最近は保温力が落ちてきたかな。ちなみに買ってから、いちども洗ったことがありません。ダウンシュラフを洗うのってたいへんなイメージがあるし、うちで洗っていいものかどうかもわからなかったし……」
使い込んだシュラフは、
表面だけでなく中綿まで汚れている。
そんなときは、ダウンでも化繊でも、
洗濯機で洗ってしまおう。
汚れを落とせば、保温力もアップする。

ナンガ=監修・協力
プロから学ぶ
シュラフの洗濯術
シュラフってどうやって洗うの?
その疑問にお答えしましょう。
用意したのは 、10年以上いちども洗濯したことがないダウンシュラフ。
写真ではめだたないけど、首まわりをはじめ、汚れがシュラフについている。
見えないけれど、中綿のダウンだって汚れているはず。
このシュラフを、国産シュラフメーカー「ナンガ」の社長、
横田晃さんに洗ってもらった。


シュラフのプロ
ナンガ社長
横田 晃さんの洗濯術
シュラフの洗い方
1.まずシュラフ全体を見て、破れたところがないかどうかチェックする。破れたところがあれば、シールなどで修理をする
2.部分洗い、または、つまみ洗いで首まわりなどの生地に付いた汚れを取る。汚れがひどいところには、つまみ洗いが有効だ
部分洗い
中性洗剤を水かぬるま湯に溶かして、スポンジかタオルに洗剤を含ませて汚れを拭く。タオルの代わりにブラシを使っても良い
つまみ洗い
水、またはうすめた中性洗剤を使い、生地と生地をこすりあわせるようにして汚れを落とす
3.シュラフを型崩れしないようネットに入れる
4.生地を傷めないよう、中性洗剤を使う



5.洗濯する前に、シュラフにしっかりと水を含ませる。洗濯時間は普通時間。弱洗いで。すすぎまで洗濯機ですませる。すすぎをより完璧にしたいなら、風呂桶にためて、足で踏みつけて洗剤を落とすとよい
6.手しぼりで水気をよく取る。脱水は洗濯機で行わないこと。洗濯機で脱水をすると、生地から水が出にくいので、遠心力で洗濯機が倒れてしまうことがある。
7.表地のナイロンは紫外線で劣化するため、日陰の風通しの良い場所で干す。日陰がない場合、薄い布掛けて干すとよい。この乾燥がいちばん大切なポイント。充分によく乾かすこと
8.乾燥後、ダウンをほぐす。両手を拍手するようにしてシュラフを叩くとよい。ダウンが1ヵ所に固まることがないよう、全体にまんべんなくほぐす
9.何度も使用したシュラフの生地は撥水性が落ちているため、防水スプレーをかける。この防水スプレーで生地に薄い膜ができるので、ダウンが生地から出ていくことも抑えることができる
完成
見た目もきれいに、そして肌ざわりもよくなった。保温力も復活したし、臭いが落ちたのもうれしい
ナンガ
 登山用のシュラフをはじめ、登山用のジャケットを生産する。とくに、ダウンの品質にはこだわりがある。卵から製品まで管理されたポーランド産のダウンを使用。とくに手で採取したダウンは、最高級の品質をほこる。このダウンを国内で洗い、高温、オゾン処理で殺菌処理するなど、清潔さも追及。修理などのアフターケアも充実している。
滋賀県坂田郡山東町本市場4-11 
TEL 0749-55-1016
http://www.nanga-schlaf.com

シュラフにメンテナンスでいちばん大切なのは汚れを落とすこと。ダウンは、野生または、飼育したガチョウ(グース)やアヒル(ダック)からとったもの。これらの水鳥は体から出る脂を自分の毛に塗ることで、水の浸透を防ぎ、浮力をつけるために毛づくろいをしている。
 ダウン商品は、ダウン本来の保温力を出すために、この毛づくろいの脂を洗い落としている。この洗いが充分でないとダウンの繊維が固まりになり、本来の保温性が発揮しないからだ。たとえば、中国製のダウンを日本で再洗浄すると10パーセント目減りし、ロフト(嵩高)がJIS規格表示で10ミリ増す。
 人間も、汗とともに脂を出している。たとえば、同じ下着を何日も着ると汚れと脂で保温力が落ちる。シュラフも同じことで、ダウンにこの脂汚れがつくと、ダウン本来の保温性を発揮しなくなってしまうのだ。だからこそ、ダウンシュラフは洗うことが必要だ。化繊シュラフも同じで、やはり脂汚れがつくと保温力が落ちるから定期的に洗うようにしよう。

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